「LTS」は製品によって意味が違う
LTS は「長期サポート」という意味ですが、何年なのか、 お金がかかるのかは製品ごとに違います。 Debian・Ubuntu・MariaDB・Node.js・.NET を並べて、 同じ4文字が何を指しているのかを整理しています。
同じ「LTS」でも、指しているものが違う
LTS は Long Term Support の略で、日本語では「長期サポート」と訳されます。
意味はそのとおりなのですが、何年なのか、お金がかかるのかは、製品ごとに違います。 1つの製品だけを見ていると気づきませんが、並べると違いがはっきりします。
| 製品 | 「LTS」が指すもの | 長さの目安 | 費用 |
|---|---|---|---|
| Debian | 通常サポートのあとを LTS チームが引き継ぐ段階 | 合計およそ5年 | 無償 |
| Ubuntu | LTS リリースの標準セキュリティメンテナンス | 5年 | 無償 |
| MariaDB | 年1回出る長期リリース | 3年(10.6 / 10.11 / 11.4 は5年) | 無償 |
| Node.js | 偶数系だけが昇格する段階 | 約3年 | 無償 |
| .NET | 偶数系のリリース | 3年 | 無償 |
短いほうから3年、長いほうで5年。 同じ4文字でも2倍近い開きがあります。
いちばん間違えやすいのは「無償か、契約が要るか」
期間の違いよりも影響が大きいのが、ここです。
Debian の LTS は無償です。契約は必要ありません。 公式は「すべての Debian stable リリースの寿命を(少なくとも)5年に延ばすプロジェクト」と 説明していて、通常のセキュリティチームとは別のチームが引き継ぐ形になっています。
一方、Ubuntu で「5年より先」を求める場合は話が変わります。
| Ubuntu 24.04 LTS の段階 | いつまで | 条件 |
|---|---|---|
| 標準セキュリティメンテナンス | 2029年5月 | 無償 |
| ESM(拡張セキュリティメンテナンス) | 2034年5月 | Ubuntu Pro の契約が必要 |
| Legacy アドオン | 2039年5月 | さらに追加の契約が必要 |
つまり Ubuntu の LTS は、見方によって5年にも15年にもなります。
「Ubuntu 20.04 は2030年まで大丈夫」という記述を見かけることがありますが、 それは Ubuntu Pro を契約している場合の話です。 契約していなければ、2025年5月で標準サポートは終わっています。
本サイトが「結局いつまで使えるか」を出すときに、 Debian の LTS は含め、Ubuntu Pro の期間は含めていないのは、この違いによります。 契約していない人に、契約者向けの期限を見せないためです。
LTS の中が、さらに段階に分かれている製品がある
Node.js の LTS は、ひとつの状態ではありません。
| 段階 | 何が起きるか |
|---|---|
| Current | 最新。破壊的でない変更が入る |
| Active LTS | 新機能の取り込みが続く。安定して使える |
| Maintenance LTS | 重大な修正のみ。次の移行先を決める時期 |
| End-of-Life | 更新が止まる |
「LTS だからまだ大丈夫」と思っていたバージョンが、 実際には Maintenance に入っていた、ということが起こります。
もうひとつ、奇数系(21、23…)は LTS に昇格しません。 公式のリリース計画に、昇格しないと明記されています。 奇数のバージョンを長く使う前提で選ぶことはできません。
「LTS を選べば長い」は成り立たない
製品をまたぐと、順序が入れ替わります。
- .NET の LTS は3年です。5年でも10年でもありません。
- Ubuntu の標準サポートは5年で、こちらは LTS の契約なしで届きます。
つまり .NET の「LTS」より、Ubuntu の「無償の標準サポート」のほうが長いということです。
LTS という表記は、その製品の中での相対的な位置を表しているだけで、 製品をまたいだ長さの保証ではありません。
どう判断すればよいか
3つを順に確認すれば足ります。
- その製品の LTS は何年か。 3年なのか5年なのかで、更新計画が変わります
- 契約が要る期間が混ざっていないか。 「◯◯年まで」という記述が、 無償の範囲なのか契約者向けなのかを分けて読みます
- LTS の中で段階が進んでいないか。 Node.js のように、 LTS のまま Maintenance に入っている場合があります
本サイトの各バージョンのページでは、契約が必要な期間は「結局いつまで使えるか」に含めていません。 契約している場合は、その分を足して読んでください。
サポートが終わっても、すぐ止まるわけではない
念のため書いておきます。
LTS が終わった日に、その製品が動かなくなるわけではありません。 止まるのは公式からの修正の提供です。
動き続けるからこそ、いつ修正が止まったのかを自分で把握しておく必要がある、 というのがこのサイトを作っている理由です。